2016-07-01から1ヶ月間の記事一覧

漆黒に染まった銀弾:29

指定された待ち合わせ場所にウォッカが戻ると、公衆トイレの入り口から人の足が覗いてるのを見つけて、慌てて駆け寄る。血だらけのジョナサンが横たわっていたので、脈を確認しようと手を伸ばしたが、すぐに掴まれて生きていることは確認できた。 「悪い、悪…

漆黒に染まった銀弾:28

「羽根くれたおじさん」 ジンが嬉しそうにキャメルに紹介した男は、米田と呼ばれた係員の格好をしていたが、マスクを破りとるとコナンも見たことのある顔だった。 「お前、何でここにいるんだよ、ジョナサン!?」 ジャックも把握していなかったらしく、困惑と動揺…

漆黒に染まった銀弾:27

七月三十日。ジェイムズとジョディは灰原哀の護衛の為に工藤邸の留守を任され、キャメル、ジャック、コナン、沖矢、ジンは、レンタカーで帝都動物園に向かった。ハヤブサショーは午後二時から。日曜日の午後は混むだろうということで、午前十一時に家を出た…

漆黒に染まった銀弾:26

ロンドンの駅で爆破事件。テロリストによる犯行か。 北海道で大規模な交通事故。暴走したトラックの運転手、未だ見つからず。 日系アメリカ人の資産家、サム・タカナシ・ジョリー氏死去。 外交官横領疑惑。明日にも釈明会見をするとの発表。 海水浴場にサメ四…

漆黒に染まった銀弾:25

夜が深くなり、生ぬるい静寂が町をゆっくり覆う頃、寝息を立てているふりをしながら耳を澄ませていたキャメルは目を開けて、なるべく音を立てないようにベッドを降りる。すぐに追うと気づかれてしまうので、リズムをむゆ乱さず寝息を立てながら、ドアに耳を…

漆黒に染まった銀弾:24

ジョディとキャメルが二人を保護するという名目で始まった生活の六日目。コナンはその部屋に遊びに来ていた。泊まり込みの許可は出なかった為、できる限りここに足を運ぶという形に切り替えたのである。ジンは記憶を取り戻す様子がまるでなく、規則正しく起…

漆黒に染まった銀弾:23

ジンの意識が戻ったことを聞き、医者はいくつか彼に質問をし、鎮痛剤と化膿止めの薬を点滴で打った。コナン達が彼に構わず勝手に話をしていても、ジンはひとりでミニカーをまじまじと見つめ大人しくしており、その内薬の副作用でぐっすり眠った。 ジャックは…

漆黒に染まった銀弾:22

その夜、キャメルは久しぶりの非番だった。赤井秀一が生きているとわかってから、黒の組織に関する情報があれよあれよと出てきて、休みなく働く毎日がしばらく続いていたのだ。そのせいか、昨晩、昼には気に入っているファミレスにカレーを食べに行こうと決…

漆黒に染まった銀弾:21

子供の姿になったジンは一度目を覚まし、混乱しながらもウォッカに仕事に関する話をいくつかしていた。目の前で苦しみながら子供になったのを見たはずなのに、ウォッカはなかなか事態を飲み込むことができず、ブラックに命じられるまま、子供になったジンを…

漆黒に染まった銀弾:20

違和感がずっと拭えなかったのは、ブラックを最初に見た時だ。 クラウディオの格好をしたジョナサンが目の前に現れて、ブラックとジャックだな、と声をかけた、あの二人。あの時のブラックはやけに焦っていた。そして 「誰だこいつ、おい殺していいのか!?」 確…

漆黒に染まった銀弾:19

「ご馳走になったので、片付けは僕らでします」 ジャックはそう言い、調理で使った鍋やお玉を洗い始めた。蘭は自分がするからと遠慮したが、何もしないで煙草を吸っている剱崎が口を挟んだ。 「いいんです、いいんです、人一倍食ったのはそいつなんだから」 「あ…

漆黒に染まった銀弾:18

「おいしい?ジャック君」 蘭が微笑みかけると、なんとも無愛想な顔のまま、ジャックは頷く。渋々食べているような態度だが、それにしては元太とそう変わらない量をむしゃむしゃ食べている。 「おめぇ、食わせてもらってるんだから、ちょっとは遠慮しろよな」 さ…

漆黒に染まった銀弾:17

銀髪の少年はジャック・ジェイムズと書かれた名札をつけている。それは合宿運営委員会の人から配られたもので、今回の参加者はみんな左胸につけているものだ。 「ジャック君っていうのね」 「荷物重たそうね?お姉さんが持ってあげよっか?」 女子高生とはしつこい…